・心ある人が心ある人の視点で書いた心のない人の話
長く生きていると、「一体この人には心があるんだろうか」と思うような人に出くわすことがあります。
作者もどうやらそうだったようで、そのような人のことを書きたかったといったようなことを、どこかで書いていました。
『黒い家』は平成九年の第四回ホラー小説大賞受賞作とのこと。
いわゆる我々にちょっと理解不能な「この人、心、ある?」と感じてしまうような異常な人たちの呼び名が、最新のものとは少し違い、ああ、この時代はこんな風に呼ばれていたんだなと、勉強になりました。
異常な凶悪犯罪者には脳に微細な傷があるとは、本当に大昔からまことしやかに囁かれてはいましたよね。
ただ、現在になると、遺伝子情報がすっかり読み解かれたせいもあってか、そういったレッテル貼りに、あまり抵抗を感じないような風潮になっている気がします。
だからこそ、それは違う!と大声で言うような、そんな視点はとても新鮮に感じられました。
賞の選評者には、今は亡き景山民夫氏はじめ、面白い方が顔を並べています。
林真理子さんの選評は面白くありませんでしたが、ほかは結構面白かったです。
高橋克彦氏が『人の心が一番怖い』と評していた部分に関しては「まさに、その通り!」と机を叩きました。
・保険実務に関する知識は素晴らしいが、今の目で見るとそれ以上に大きいマイナス面が
評価が高いので期待して読んだらがっかり。
元保険会社勤務の作者による保険に関する実務知識披露は面白い。だが、中途半端に誤解を与える心理学出さないで欲しい。
これまで見事に正体を隠して振舞っていた「実は悪人」キャラが、悪人だと読者にバレた途端、悪さ全開の言動。「もう一段階裏があるってことか…。ひっかけにしちゃ、あからさまだろ…」と思ってたらそのままだった。アニメかよ。そのほかトホホなところが幾つも目についてしまう──
ヒロインのキャラ造形に、「作者の理想論を代弁させる人物」としての資格無さ過ぎて、ただの極端で無知なエセヒューマニズムふりかざすおかしい人の様になってる。被害者・遺族が可哀想。
私達と違う思考回路を持ってたら「モンスター」扱いかよヒロイン。そういう人も認めてあげようよ。存在を認めずに、そういう人をそういう人だと(ヒロインと違って)見抜いておきながら惨殺された研究者やら被害者「を」頭がおかしい扱いするヒロインこそよっぽど酷いよ。なのに描かれ方は正反対。ヒロイン=物語の希望。ついていけない。
・後味が悪い
以前、貴志さんのクリムゾンの迷宮を読みはまってしまい、更に貴志作品を読みたかったので怖いと有名なこの作品を手にとったのですが、個人的には不満だらけです。
まず、全く先の展開に効いてこない情報を書きすぎです。貴志さん自身がかつて保険会社に勤めてらっしゃったからか、保険会社の業務やら保険の種類やら・・・無駄に詳しく書いてあります。
それと、他の方がおっしゃってるほど怖くありませんでした。確かに不気味に思わせる描写もあり、クライマックスなどはこちらの心拍数まであがってしまうような迫力のあるシーンでした。しかし残念なことに読者を怖がらせる手段として、ただ残虐なだけの描写が多く用いられているように感じられました。私には恐怖ではなく悪い後味のみが残る形となってしまいました。
最後に、これは極めて個人的な意見なんですが、だんだん主人公の性格・言動が疎ましくなってきます。彼がでしゃばらなければ死なずに済んだ人もいるわけで・・・この主人公の彼女も初めは知的な女性という印象なのですが、最後にはただの阿呆になっています。相当酷い目にあったのにその後ケロリとしていて、いまひとつ彼女の心情が理解できません。
好き嫌いは分かれる作品だと思いますが、一気に読破したくなるような、そんな作品でした。
・面白い♪
評判が良かったので読んでみました。
情景描写・心理描写が上手なので、グイグイ物語の中へ惹き込まれます。
続きが気になるので一気に読んでしまいました。
ドキドキしたい方にオススメ♪
・これは凄い!
過去二回映画化(大竹しのぶ主演の駄作と韓国で最近リメイクされました)されていますが、到底原作を超えるに至っていません。それほどこの作品は強烈です。こんな物語を創りあげた作者は凄いです、とただ感服します。
序盤はゆっくりとしたペースですが、幸子の本性が徐々に明らかにされる中盤以降のじわりじわりと迫り来る恐怖はやがて止められない狂気のジェットコースターのように加速していきます!
人間の怖さ、、と言うか、人間の心を持たない人間の皮を被っただけの人間(人間が多いっ!)の恐ろしさを強烈に感じる事のできる作品です。
傑作!!