・フィンランドの教育現場を知るにはこれで十分
自分の母として、教師として、保護者としての体験を交えながら、
フィンランドの教育システム、現場の実情を長所短所交えながらつづってある本。
読んでいて、そうそうそう!、なるほどそうだったのね〜、と思わずうなずく
内容ばかりです。
どうしたら成績が伸びるか等のノウハウは書かれていないけれど、
どうして、フィンランドの教育は優れているといわれるのか、という
事を知りたい方にはおすすめです。
・学力世界一の背景
1969年フィンランドに生まれ、10年間ヘルシンキの基礎学校(9年一貫制)教師を務めつつ、特別支援教育の学位をとり、2005年に夫の転勤に伴い来日した2児の母に、3人の日本人女性がインタビューした内容を、2008年に本にしたもの。フィンランドの教育はOECD学習到達度調査で好成績を収め、かつ格差も小さいことで注目されている。資源も産業も人口も乏しい小国として、教育投資を重視する同国では、もともと家庭での読み聞かせや3言語教育が盛んであり、教師への尊敬も厚く、教師と保護者の距離も比較的近い。1994年ヘイノネン教育大臣が、68年以来の教育民主化の流れを引き継ぎ、教師の資格を修士学位の取得に引き上げた上で、現場の教師に大幅な裁量権を与える教育改革を実施した結果、教師は教材やカリキュラムを自由に設計できるようになり、自分のスキルアップの時間も獲得した上で、子ども中心の教育への転換を求められた。その際、学校が集団行動の場である以上、教師はルールをきちんと公平に守らせることが望まれると著者は言い、子どもに媚びる教師や子どもと同じレベルにいようとする教師は批判される。体罰は学校でも家庭でも禁止されており、教師は親や同僚とコミュニケーションをとりつつ、ソーシャルワーカーを含めたサポートチームを組んで個々の生徒に対処し、子どもと自分の能力をわきまえた上で、明確なビジョンをもって教育を行い、子どもの質問にはきちんと答え、復習のための宿題を課し、いじめに毅然と対処するために生徒同士のグループ形成を奨励し、移民の子には独自の配慮を行うことも必要であると著者は言う。ただし最近、フィンランドでも家庭の教育力が落ち、行動に問題のある子どもが増え、学校を楽しめない子が増えたことを著者は憂慮し、社会全体で子育てをする環境づくりの必要性を説いている。
・フィンランドの教育
著者はフィンランドの元先生。そのためフィンランドの実態というのはわかってくる。ただし、フィンランドの教育を俯瞰してかかれているかというとそうでもないように思う。個人的な感想、体験談といった感じも受ける。しかしながらフィンランドでは教育にお金をかけているなと感じた。
日本との比較であるとか、現実論としてどのように日本の教育をよくするかという本ではないので、それには別の本を読む必要があるだろう。
・フィンランドの現役の先生が語った数少ない本
著者はフィンランドの現役の先生。フィンランドの教育について書かれた本はたくさんあるが、現役の先生が書いたものはあまりないような気がする。「教師を選んだわけ」「現場での苦労」「親として」など、現役の先生ならではの、率直な思いや意見が飾らずに書かれている。
この本を読むと、フィンランドの教育の成功の秘訣は、「教育システム」と「教師の力」に負うところが大きいことがよくわかる。書かれていることのひとつひとつは至極真っ当なことばかり。だが、日本で同じようなことは、できそうでできないに違いない。
果たして日本でも真っ当な教育がなされる日はくるのか。それには行政を動かす社会の力が必要なのかもしれない。
・フィンランド、教育現場のリアル。
近年、PISA試験での成績のよさから教育界で注目されているフィンランド。
そのフィンランドで10年間教師をしていたリッカ・パッカラさんへの
現地の教育現場のインタビューをまとめた本。
首都ヘルシンキで、教育改革が始まった年から教師をされていたリッカさん。
そのため、現場での雰囲気がリアルに伝わる本となっていました。
フィンランドでの教育改革が成功した要因として、リッカさんは
教員免許が大学院での取得に引き上げられ、教員の質が向上したこと、
教員にまかされる裁量権がおおはばに増えたことを挙げています。
そして、教科書や時間割が教師の裁量権の下におかれる中で
自身がどのように授業をとり行ってきたか、
また裁量権がおおいに認められるとき、教師はどのようであるべきかと
リッカさんの考えが述べられています。
とりわけ印象深かったのは、それらのエピソードに交えてかかれている
困った親、学校になじめない子ども、
突然の仕事量の増加にとまどう以前からの教師というエピソードです。
それらのエピソードは、教育の理想郷として描かれがちなフィンランドではなく
すぐれたところも多いが、目指せばかなえられる指針として
身近にかんじさせられました。