・精巧なストーリー構成が前面に出てきた10巻!
今回は長編1つと、短編1つです。
長編は、これまでの謎をほぼ回収しきり、王位継承権争いに新たな側面を見せました。
これまでの怪物王女は、アイディア勝負のショートストーリーが多かったので、9巻までさらっと読んできた方は、この10巻で「あれ?」と思うかもしれません。
怪物王女は良くも悪くも複線がさりげないので、疑問も違和感も抱かないまま、多くの読者が複線を読み飛ばしていると思うのですが、これまでの複線を理解していないと、今回の長編はわからない事だらけになってしまうと思います。
ともあれ、この長編はおそらく今後の展開の為に必要な起承転結の「転」です。
刺客とのバトルから、王族同士のバトルへ移行するのか、それとも…という感じなので、これからの展開に期待です。
最後の短編は怪物王女らしい、4リンクな一仕掛けあるショートストーリーでした。
・ますます深まる謎
この巻では、デュケーンという新たな王族が登場する。彼には大きな謎がるようで、ますます読者の興味を掻き立てるだろう。
また、この巻では、いつものセーラー服とは違う9年後の大人の令裡が登場する。あまり活躍しなかったのは残念。
・本筋の進行速度アップを
今巻でキーマンとなる方がまた一人現れました。
しかし回りくどい…
世に言う「大作」を目指すように伏線を張って張って張りまくる!
と言うのを目指しているのでしょうか。
危ないのは張りまくった伏線が回収しきれず「エイヤッ!」で片づけてしまうパターン。
ほかに構成、脚本が失敗し伏線が解りづらい為に読者が「?」となってしまう事。
その香りがドンドン強くなってきてます…
オマージュも良いのですが、やり過ぎて筋を見失わないようにして下さい。
あの状況であのSFアニメは無いと…
物語を彩る「タイムトラベル」の話も危険な果実。
初期のころから想定していたならば問題は無いと思うのですが
いまの状況でこんな話を出されると読者が暗に認識していた「物語」と違う
「時の悪戯」的な危ないエンディングを予感してしまう…
作者の思い描いていた進行なら、上記にあげた点は気にする事も無いのでしょうが
これが「編集側」の意向で描かれているのならば心配です。
どうかここから、ストーリーが本筋に則った軽快な展開になる事を期待します。
終わりよければ全て良しとも言いますので。
・ネタの重複
本作は中年以上のSF・ホラーファンが読んでも作者の新旧・メジャー・マイナーを超えた多岐多様な本ネタを捌く能力の高さに関心させられる事が多く、毎巻楽しみにして居ります。
只、流石に主人公たちのグループを襲う怪異のネタは切れてきたのか、20-22話のゾンビネタ、31話に続いて再度現れた時空跳躍ネタ、と重複する様になりました。
小道具(ゾンビ物の秀逸なパロディ映画「バタリアン」に出てくる設定の更に翻案)や作話上の複雑さを加える事でなんとかしのぐ状態になっており、やや苦戦しています。
加えて色々な怪物を倒しまくるシューティングゲーム的な愉しみ以外の、一巻よりずっと触れられてきた怪物を総べる王室の継承争いの方もどんどん複雑化しており、昔の巻を読み直さないと筋を追えなくなってきました。
最初の頃の単行本一巻に4-5本の読みきり完結ネタがきっちり収まり、王室継承問題の方は傍に有って時折触れられる程度の方が個人的には好みでした。
しかし、この漫画ならではの不思議な揺らぎが有る人物のデフォルメ(まぶたや鼻の表現がどんどん記号化している)や淡い色気、黒さが際立つ画風と、チェーンソーを構えた姫の凛々しい姿には相変わらずの魅力が有り、全体的に観れば依然高水準のエンターテイメント作品です。続けて読んでおられる方々、もちろんお薦めです。
個人的にはアニメ化もされてかなりのヒット作の印象がある本作が、10巻で140万部しか出ていなかった事を帯で読んで衝撃を受けたのですが…。
・ますますワンダーランドへ
10巻に入って、少し作風に変化が出てきたように思います。
内容はなぜか今(?)の日本に土葬の大霊園があって、
そこから大騒動が起きて……といった具合ですが、
この巻からいきなり怪物王女を読むと何の話なのか
サッパリ解らないことになると思います。
怪物王女を読み続けている人前提で、星が4つです。
星5つにしてしまうと、いきなりこの巻から読み始めてしまって、
せっかくの怪物王女の面白さを誤解してしまうといけないので。
キャラクターに惚れ込んでいる人にはキャラクターがさらに前に
出てくるようなったので、○。
令裡については、巻末で出てくる方が好みですね。
ストーリーとか雰囲気、姫が放つ独特のヒロイズムが気に入っている
わたしとしては、今のところ微妙です。作品初期の丁寧さが
どっかに行ってしまっているような気がします。風呂敷も広げすぎに
ならなければよいのですが。
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