・自分の人生あるいはお金を中国に賭けようと考えている人は必読
自分の人生あるいはお金を中国に賭けようと考えている人は必読だ。「中国はこれからもどんどん発展し、日本はどんどん没落していく」などと日本のマスコミだけでなく海外のメディアでも言われており、日本企業も中国の将来に期待して中国進出しているようだ。しかし本書によれば、中国の人口状況を考えれば今後経済発展に急ブレーキがかかることが予想される。将来予想というものは非常に難しく外れることが多いが、将来人口予想はほぼ予想通りになるそうなので人口予測を基にした経済予測はかなり説得力がある。本書は日本や台湾、韓国の経済発展及び日本の経済衰退も人口効果によって説明しており、将来の中国(や韓国、台湾など)の衰退も説得力がある。日本が今後考えなければならないことは中国をはじめとしたアジア諸国で増加する高齢者をどのようにして支えていくか、そのノウハウを提供し、各国が協力する体制を構築していくことらしいが、個人的にはその実現は難しいのではないか?と思う。
・中東の人口問題も知りたかった
今、日本でも少子高齢化が大きく問題になっていますが、
勢いのある中国そしてインドでも今後少子高齢化が進むという
本です。
人口ボーナスという日本で言えば、団塊の世代が大人になり、
たくさん消費をすることで経済発展するという事態ですが、
代わりに、その世代がアジアのどの国でもその後少子高齢化を引き起こすと書かれています。
ただ、少子高齢化は長寿を意味するので、悲観的にはならずアジアの各国が
情報を公開し協力して行けばよいと筆者は説いています。
ただ残念なのがタイトルに「アジア」と書かれていますが、
この本のアジアの対象が日本からインドまでの東南アジア、東アジアが
対象である為、中東の記述がない点です。
中東も現在経済が好調であり、いろいろな課題があります。
中東の人口問題に関する本を筆者には次回書いてほしいところです。
・受賞おめでとうございます!
本書のアジア経済研究所・発展途上国研究奨励賞受賞おめでとうございます。
各界推薦39点から選ばれた力作で、「人口ボーナス」により一時の繁栄を謳歌するアジアを鋭く分析した点が高く評価されたのだと思います。
・「人口ボーナス」という視点から見たアジア発展史と衰退(?)の未来
「老いてゆくアジア」というタイトルどおり、日本以上に急速に高齢化を迎えつつあるアジア各国の状況を、マクロデータから読み解いていくのが本書。
「人口ボーナス」という視点から俯瞰するアジアの経済発展の歴史は、専門家にとっては当たり前のことなのかも知れないが、私みたいな素人にはとても新鮮で、興味深い視点だった。
いろいろな個別要素があるであろうアジア各国の発展を、「人口」だけで見ていくのは少々乱暴な気がしないでもない。
だが、言われてみれば確かにその通りということも多く、とにかく知的好奇心を刺激されることだけは確かな一冊だ。
それにしてもこの「老いるアジア」の問題は不可避的で、あまりに大きな問題だ。
著者も、
「先に高齢化社会を迎えた日本が果たすべき役割は大きいだろう」
とは言うものの、具体的にどうするか、という言及まではできていない。
こういったことも含め、本書は正直、いかにも研究員のレポートという感じで、分析のための分析に終わってしまっていたり、ひたすら数字が羅列されたりと、決して面白みのあるものではない。
そのあたり、ちょっと人を選びそうだが、持っておいて損はない視点を得られる一冊だ。
・画期的なすばらしい論考
欧米に学ぶべきだという論者は跡を絶たないが、欧米とアジアには致命的な経済史の違いがあるのをご存知だろうか。その具体的内容の一部、高齢者問題に焦点を当てて詳述したのが本書である。
欧米は16世紀頃から世界中に乗り出していき、世界貿易・植民地経営を通じて、世界中から富をかき集めることを、100年、200年、300年にわたって延々とやり続けた。中央アフリカ共和国の政府役人と話をしたことがあるが、彼が話してくれたのは、フランスがあの広大なアフリカの大地から富をかき集めて本国に送ることを100年以上にわたってやり続けたという話で、あまりにスケールの大きな話なので仰天した覚えがある。ヨーロッパ諸国はその過程で、社会資本を整備していき、個人資産の蓄積も進めていった。そういうことがひと通り終わった後で、高齢化社会に突入して福祉国家建設に取りかかったのである。
しかし日本をはじめ他のアジア諸国は、社会資本の整備、個人資産の蓄積が充分終わらないうちに高齢化社会に突入してしまう。したがって福祉国家建設に取りかからざるを得なくなる。日本は高度経済成長期を経ているので、まだましなほうだろう。中国の状況はかなり深刻だ。日本を含むアジアと欧米を比較する上では、前提となっている経済史の違いを考慮に入れる必要がある。例えば、北欧諸国の高齢者福祉政策がどれほどすぐれていても、アジア諸国がすぐに真似していいかどうかは全くの別問題である。