・期待と大きく異なる内容
アスペルガー症候群の主人公が、特殊な数学能力を生かして殺犬事件を解決する探偵小説!
みたいな内容を期待して読んだのですが、全然ちがいました。
主人公の視点で物語が進行するので、異常に細かい描写があったり本筋に関係のない数学の話題があったりと、物語はもどかしく展開していきます。主要登場人物はみんな暖かみが感じられず、情が薄い人たちのように思えました。特に主人公は我慢ならないほど冷たい。もちろんそういう障碍なのはわかりますが...けっきょく、誰にも感情移入できないまま読み終わってしまいました。
結局これってハッピーエンドなんでしょうか。
主人公の存在によって引き起こされた多くの不幸とちょっとした幸福、といった印象で、読後は爽快感よりもやるせなさを感じてしまいました。
・少年の目から見た我々の奇妙な世界
クリストファー少年はある障害(自閉症)を持っている。
しかし数学や天文には並外れている。
一匹のイヌが庭で刺されて死んでいた。
彼の推理でもって犯人探しの冒険が始まるのだが・・・。
少年の目から見れば、私達が当たり前に暮らす雑多な街が、
とても奇妙なものであることに再認識させられる。
家族のあり方にも考えさせられるものがあり、
彼を最も理解していたはずの人物のたった一つの過ちが、
少年に嫌悪をもよおさせるのが何とも切ない。
ちなみに、邦訳されているほうも絶妙な訳で楽しめた。
・自然に惹きこまれます。
題名の奇抜さに引かれて買いました。
一人称で語られていくその語り口は平易で、
殆ど辞書なしでも読み進められたと記憶しています。
独特の文体で、読みながら日本語の口調が想像できるような感じ。
ただ平易とはいえ、内容的にはけっこう考えさせられることが多々あり、
切なく感じたりもしましたが、随所で独特のユーモアも感じられるので、
比較的楽しく読めましたね。
最初は主人公の言動に少々驚くこともありましたが、
次第に周囲とのやりとりなどに、はらはらしつつ、
ひきこまれていきました。自分とか通常とは違う
物の見方にはっと気づかされるのも、
この本ならではの経験でしょう。
彼は理数系等に優れているらしく、いくつか問題や数式が
でてきます。わからないものもあり、逐一考えていられない
という感じもありましたが、
有名なクイズは、ああこれは聞いたことがあるなぁと思って楽しめました。
そういえば、章の数字が面白いです。この主人公ならでは。
とにかく、はらはらと気を揉みつつ、主人公を応援する気持ちで
最後まで読めてしまい、読んだ後はさわやかな気持ちになって
いました。
お薦め洋書の代表作だと思います。
・せつない。。
英語でちょっと長いものを読んでみたい、でもふつうの小説は難しすぎるという人にお勧めです。
主人公は自閉症の少年。ひととふれあうのは苦手でも数学は大得意。ある日庭で犬がgarden folkに突き刺されて死んでいるのを発見したところから、彼の日常はどんどん変化していきます。犬を殺した犯人を捜す少年探偵モノかと思って購入したのですが全然違いました。探偵モノではありませんが、しかしそれ以上にスリリングだったといえます。ある意味でこれは主人公を含めその母親父親の心の動きを追う冒険小説なのかもしれません。べつに犬が殺される以上のすごい事件が起こるわけではないんですが・・・それでもページをめくる手が止まりませんでした。おもしろいんです。でもせつない。こんな気分になる小説はまれだと思いますよ。ぜひ、ご一読ください。
・自閉症少年の独特の世界を満喫しましょう
自閉症の少年 Christopher が繰り広げる日常冒険物語。
近所の犬が殺されたのを発見した Christopher は、その犯人を突き止めるべく「探偵」となり事件の調査を始めます。
そして調査の中で様々な隠された事実を発見していった彼は、ついに彼にとっての「大冒険」へと旅立つ決心をするのです。
この少年の心の動きを追いかけるのが本書の最大の読みどころです。
Christopher は高度な数学的能力を持ち、あらゆる事を論理的に考え、自分の中の規則に徹底して忠実に行動する、ちょっと変わった少年です。
読者も最初のうちは彼の行動にじれったさや取っつきにくさを感じるかもしれません。
でも。
おそらく10ページも読まないうちに、彼の独特の世界と本書の独特の雰囲気にまるまる呑み込まれてしまうことでしょう。
そしてそのまま一気に最後のページまで読み切ってしまうことになるでしょう。
抜群に面白いです。
これまでに読んだペーパーバックの中で文句なしのNo.1です。