・いかにして労働者は自分の権利を守るか
労働問題専門の弁護士が見た、悲惨な労働状況の告発書ともいえる。
給料が勝手に減額された、上司からの散々の嫌がらせの上暴力を受けた、名ばかり管理職でこき使われた、アルバイトだからと一方的に首を切られた・・・などなど、労働者に降りかかる災難を、自らが取り扱った案件をもとに書いている。
一番衝撃だったのが「あごに穴が開いた」という事件(本書第3章)だろう。
解雇不当をきちんと認めさせるのが意外と大変だというのも驚きだった。
ただ、筆者は弁護士なので、当然ながら「会社から不当な扱いを受けた労働現場」ばかり見ているということで、多少労働者寄りのバイアスが入っていることは加味した方がいいと思う(これは特に最終章の提言について言える)。
それとつながるが、本書では具体的な労働者の苦境はわかるが、ではどうするかを俯瞰的に眺めるには至っていないと感じた。
その点から☆一つ引くが、労働者の負の実態を知るにはいい本だと思う。
・一歩前進のための一冊
労働法では、正社員か非正社員かという区別はない。パートだろうが派遣社員だろうがすべて「労基法」の保護が与えられる。
この程度の指摘は、常識の範疇なのでしょう。しかし、これを読んで、「そうか、よっしゃ、ガンバロー」と思ってしまった自分が正直なさけない。
私の職場は百人くらいの人間が働いていますが、その多くが、一年二年契約とかの、不安定な状況におかれております。それで、毎年契約打ち切りという名の解雇者が若干名でてきます。でも、手取りではそこそこもらっているので、このご時世では、こんな職場に見切りをつけてさっさと転職ともいかず、みな不安を抱えて、なんとか期間契約を取っ払ってもらうえるように必死です。でも、いくら耐えて頑張ってもそうなるという保証はありません。そんな環境だからパワハラ・セクハラがはびこるし、病気休職に追い込まれる人も。
いくつかの事例をもとに、一方的な解雇、雇止め、そのほか会社の不法労働行為についてわかりやすく解説してくれています。私のようなくそ忙しい、自分の労働条件をゆっくり顧みることもできない人間にとっては、目からうろこ、でした。しらなきゃいけないんだ、泣き寝入りしないぞ、と決意しました。
すぐに使える知識が豊富なのがありがたい。今考えていたのは、上司との会話を録音しておくこと、でも、これ相手の同意を得ずにやってもいいもんかいな?と思っていましたが、別に、盗聴したとかや無理やり言わせたのでなければ問題ないということがわかったんで、自信を持ってこっそり録音してやる、と思った次第。
読み終わった翌日職場に持って行ってみんなに勧めてまわった。
・法人と言う人について考えさせられました。
内容は筆者の実際にあった事例を一冊の本に上手にまとめていると思います。
正直、会社とはこんな組織なのかと改めて恐怖を感じました。
一人一人は善人でも、集団になると悪人になる。
人間ってやはり弱い生き物ですねぇ。
一番感じたことは、どうしてこんな邪悪な会社が存在し続ける世の中なのだろうと真剣に思いました。
会社は法人です。
人格ですよね。
普通犯罪者はそんな容易に社会復帰出来ないと思います。
それが会社と言う法人は好き勝手に、自由に生きているような気がしてなりません。
根本的に社会に弱い立場の人たちは必ず存在します。
問題はそれをどう社会、我々が救済し共に皆で生きて行くかと言うことが重要だと思います。
・正社員の身分保証という観点は?
挙げられている事例は殆ど派遣切りに関わる話ばかりであり、著者の正義漢
ぶりがよく伝わって来ます。しかし、正社員についてはどうなのでしょうか?
組合が頑張った事例しか挙げられていませんが、現実の企業内組合などは
御用組合だし、個人加盟の組合に入ったりしたら、昇進などで間違いなく
差別を受けるのが実態です。
そして、「協調性がない」「経歴、学歴のわりには期待外れ」など、些細なこと
に文句を付けて多勢に無勢で人を潰す、或いは仕事が行かないようにする、
これはどのような職場でも日常茶飯に起こり得ることなのです。ここら辺りを
どのように捉えているか、著者からも見解が欲しいと思います。
ちなみに、私自身のレビュー一覧を眺めれば、何が根本原因で職場でおかしな
差別を受けて来たか、ご想像いただけるでしょう。解決策の決定版は、まだ見つ
かっておらず試行錯誤の途上にあります。それは世の中の「差別意識」との闘い
だからです。いや、もっと正確に云うと、人と極力闘わずに自分の存在価値を
社会に認めさせる為の方法論の模索と言い換えた方がいいかもしれません。
医師と弁護士と共に手を携えて、こうした、ちょっとでも規格を外したような人
への偏見が職場での待遇に影響してしまう事態の解決策を考えて行きたいと、
レビュワーは日頃から強く思っていますし、又協力いただきたいと切に願い
ます。職場のメンタルヘルスに取組む産業医や労働問題に取り組む著者のような
弁護士、そうした人たちにかける期待は本当に大きいのです。
その期待を込めて星5つ付けました。
・『ER』に似てる
過酷な仕事というとアメリカの医療ドラマ『ER』を思い出す
医者達の過酷な現実、毎日のような徹夜、モンスター患者、銃、訴訟社会、成果主義、権力争い、などなど
日々、生活どころか生死にさらされている
実際、ドラマ上では患者に撃たれて医者が死んだこともある
ただ、ドラマの中の医者達はアメリカの文化のせいか、病院の中ですぐパーティーを開いたり、仲間がまとまって悩みを話し合ったりして前向きでいるのが救いだ
それに比べて、日本は1人で悩み、孤立してしまうためか、どうにも『ER』の医者達よりも苦しそうだ