・説得力ないだろ。
人が二人(一人は殺人確定)不審死をしているのにこんな結末でいいんだろうか?
二人には家族もいただろうに、非現実的すぎる。
まあこの人の作品にそんなものもとめるのが間違いなのかもしれませんが・・・。
・ひょっとして確信犯? 「感動」の真意
水族館を舞台にした、著者お得意の特殊クローズド・サークルもの。
解明のポイントは、被害者が生前に思わずしてしまった失言
と、犯行現場にあった水槽から消えた、あるモノの行方です。
特に後者は、水族館ならではのユニークな
湮滅方法が用いられており、感心しました。
ところで、おそらく否定的な意見のほうが多いと思われる、本作の
「感動の結末」についてですが、私は、ある意味、究極の功利主義
の発現だと捉えました。
一つの大義のため、皆が私情を捨て、一心に目的に邁進するというのは、
たしかに理想的ではありますが、裏を返せば、個人の感情をノイズとして
無価値と見なし、集団の損得勘定で行動することだとも言えると思います。
人間、そんなに簡単に割り切れないだろ、とつい言いたくなりますねw
まあ、著者にしてみれば、ミステリとしての完成度が、第一義的な問題
で、「感動」の演出などは、アクセサリーに過ぎないのかもしれませんが。
もしくは、あえて違和感が残る結末を読者に突きつけること
で、嫌がらせをするのが著者の目的……かもしれませんw
・美しい謎とは思えない
読み終えた感想としては、
無理・矛盾が多すぎる、と思わざるを得ません。
作品が書かれた当時を振り返ったとしても、
それはないだろうと感じる携帯を絡めた謎解き過程、
それを元に繰り広げられる登場人物たちの不自然な行動、
あまりに思考能力がなさすぎる主人公、
ストーリー以前に端々に感じる違和感を抑えるのに苦労して、
読み進めること自体が辛い作品でした。
“美しい謎”という帯書きに惹かれて購入しましたが、
結果は“美化”しているとしか思えないような作品でした。
辛口ですが、推理や謎解きの美しさを求める人には興醒めだと思います。
・人間の良心を信じたい人は、どうぞ!
完璧と言えます。
あまりにも完璧すぎて、
すっきりしない感。
やな言い方をすれば、
都合が良すぎて、
良い人しか出てこない。
言わば、
推理小説でありながら、
悪人が出て来ない。
犯罪にも関わらず、
書き手が罪悪感を感じていない。
だから、
すっきり誉められない。
あまりにも、
立体的にしすぎて、
影が多すぎる。
鮮やかな推理と、
人間の良心を信じたい人にはオススメ。
ラストまで関心しちゃいますよ♪
・ミステリーではなく、人間物語として読んで。
物語の序盤に、登場人物のキャラクターがほぼ説明されきっている。
「別にこんなに説明しなくても・・・」とも思うけれど、そうやって理解してしまうことで、その後の展開を、主人公と同じ視点に立って読み進められるというメリットも。
殺人事件は確かに起こるが、この話全体の中でそれは大きなウェイトを占めるわけではない。
ミステリーというよりは、現実の社会と夢の実現の狭間で頑張るサラリーマン達の物語という感じがする。
物語の最終決着の仕方がすんなり飲み込めないという印象は確かに残るけれど、それも人間物語として読めば、まぁこんなものか。
でも、この作者さんの書く雰囲気は好き。なんというのかな、落ち着いた世界があって。