Amazonカスタマーのレビュー
・SFミステリ
人類は全て女性として生まれ、一部のみ、大人になってから男性へと変化する。
そして男性になれるのは、一握りの優秀な女性のみ。
数少ない男性は、子孫を残すことが最優先の義務であり、社会的に優遇される。
という、SFな設定の元、展開されるミステリーです。
主人公は「船津遙」、その姉である「西野優子」(姉妹の名字が違う理由も、設定と関係します)が殺害されます。
優秀で人望のあった姉の死を追ううちに、遥は「BG」という政府プロジェクトの存在を知ることになります。
慕っていた姉が秘密を持っていたことを遥が知る頃に、殺人は連続殺人へと変わります。
最後まで読めば「BG」の謎も、何故「死せる」カイニスなのかもわかると思います。
個人的には、同じ作者の『月の扉』と読後感が似ているなと思いました。
『月の扉』を読んで、スッキリしなかった方には、オススメできません。
ファンタジーとミステリー、そのギリギリのところを狙って投げてる印象です。
ギリギリ、ミステリーだなという感じ。
・舞台は破天荒だが、ディテールにこだわった端正で論理的なミステリー
もともとは、次世代を担う新鋭作家たちによる書き下ろしミステリー・レーベル「東京創元社◎ミステリ・フロンティア」のなかの一冊として発表された作品の文庫化である。
全人類生まれた時はすべて女性、のちに一部が男性に転換するという特異な世界を舞台に繰り広げられる奇想の学園ミステリーである。
男性化候補の筆頭で、誰からも慕われていた優等生の西野優子が殺害された。
優子と異母姉妹にあたる船津遙(はるか)に対して刑事、校長先生、謎のジャーナリストたちは同様に「お姉さんから何か聞いていなかったか?」とたずねる。彼女に死をもたらしたこの世界に潜む大いなる謎とは---?遙たちは姉の死の謎を解き明かし、犯人をつきとめるべく行動を開始する。そして事件は連続殺人へと発展し、それは“BG”という、政府の関わる一大秘密プロジェクトと密接に関係してくる。
舞台は破天荒だが、そこは石持浅海らしい、ディテールにこだわった端正で論理的な謎解きが楽しめる。たとえばある登場人物が男性化する際、女性でいる間は‘わたし’と表記されていた一人称が男性化したら‘私’と変化したり、ちょっとした会話のなかの言葉や動作の描写の中に、謎を解明する上で重要な伏線が、実に巧みに仕込まれていたりする。
読者は一ページなりとも気を抜くことができない。よく考えられ、構成され、創作されたミステリーである。
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