・いまだからこそハイエク
社会主義、計画主義、合理主義ではなく、
自由主義として「自律分散」「自生的秩序」をかがけるハイエク。
自然発生的な(慣習法的な)制度、ルールといった伝統を重視して、
「規制を撤廃してルールを明確化する制度設計」を行い、
市場は自由でオープン、個々の知識の分散な状況をよしとするのかなと。
で、昨今の状況がハイエクの思想に近づいてきたという感じ。
たとえば、いわゆる著作権法のような、これ以外はダメ的な法ではなく、
これはダメだけど、それ以外はOK的な法が、イノベーションには優位で、
また、日本のような官僚の記憶力と言語能力に依存せざるをえない、
相互にからみあった複雑な大陸型の法体系は人的リソースの無駄であり、
ちなみに、やっぱりスパコンだって無駄なわけです。
どこまでが池田氏の持論なのか線引きがあいまいなところや、
章立ての関連性がいまいちよくわからなかったのですが、
とても勉強になる1冊でした。
・経済政策の「派閥」がよくわかる
ハイエクを中心に、
現在の経済学の「派閥」の
流れがざっとつかめます。
ただある程度の経済学の知識がないと、
読み進めていくのは
少し難儀かもしれません。
不確実性が高まる現在のような社会では、
計画をたてる経済政策は害にすらなる。
という意見は、よくわかります。
ただ、ほっときゃうまくいくのか?
という疑念が払拭できません。
経済回って、社会回らず。
経済成長し、財政赤字は減ったけど、自殺者が増えた。
そんな社会に対する処方箋が、
自由主義からは読み取れませんでした。
・ハイエクの理解しやすい入門書
本書は自由主義者ハイエクの簡単な入門書である。
ハイエクによると、経済には不確実性がつきまとい、また経済を把握するにはその情報
が膨大すぎて、政府の官僚がいくら優秀でも不可能であるため社会主義経済やケインズ
的政策は破綻する。彼の思想は後にサッチャーやレーガンの政策の理論的支柱となった。
政府は出来るだけ規制を少なくするべきで、むしろ政府は企業や個人が自由な経済活動
を行うための制度設計にエネルギーを傾けるべきだという彼の意見にはなるほどと思った。
また通貨でさえ政府に任せず民間で自由に発行させるべきという自由の徹底ぶりには
驚いてしまう。
本書は著者の池田信夫氏が自分の経済理論の基礎となっているハイエクを紹介する内容
なので池田流ハイエクに矮小化されている可能性もあるが、私には判断できない。
ハイエクの思想はアメリカのリバタリアニズムとの親和性が非常に高いと思う。
ブロック.W (著)「不道徳教育」はオススメのリバタリアニズムの良書で、ハイエクの思想を
おもしろおかしく実感できるのではないかと思う。
・ハイエクは読んでもよくわかりませんでしたが
ハイエクは読んでも、そんなにピンと来ていませんでした。
本書は、ハイエクの要点を示しているようで、
本書を読んでから、ハイエクを読み直してみると、
なんだそうだったんだと理解できました。
ひょっとしたら、昔読んだときには、あまり社会経験が無いころだったから分からなかったのかもしれません。
・今、なぜハイエクなのかを知るにはいい本
煽情的な帯の文句、「ウェブ資本主義の正体 半世紀以上前にインターネットを予見した男がいた」っていうのに惹かれて、つい買ってしまった。
ハイエクって学生時代には読んだけど(もう20年前だけど)、そんなことって書いてあったかなぁ。まぁ、当時はインターネットなんて知らなかったから、気がつかなかったのかもしれないけど。なんてことを思いながら、読んでみたら、思った以上に真面目な本だった。
世の中的にはハイエク自身の評価はいろいろあるし、私自身は経済学者というよりは法哲学者として読んでいたので、ちょっと違和感があったけど、著者が主張することはよく分かる。著者の主張をハイエクに仮託してるのだろうが、なるほど、よくまとまっていると思う。
20年前の学生時代から、この辺の議論はちっとも追いかけてなかったけど、インターネットの普及により、ハイエクが再評価されるなんて、面白い。
インターネットの出現は、もしかして産業革命以来の出来事ってことか。
新書でこの内容では、もったいないかもしれないな。