・肉だけに終わらず
屠畜、屠殺の話。
牛や豚がどうやってスーパーのパックになるのか、
その途中の話。
そこで終わりか、と思えばそこから部落の話、
エタ・ヒニンの話、差別問題の話、
日本が戦争をしていた時代の思考の話、へと
どんどん話は進み、そして最初の話題である
肉の話へ収束する。
すごくよく出来た本で、やさしさに溢れていて、
屠殺場の人たちのお話にも考えさせられたりすることがたくさんあった。
よりみちパンセのシリーズは、今のところどれを読んでも面白く、
興味深くはずれがない。
エコという観点からも食べ物を捨てないことは大事だけれども、
ともすれば「お金払って買ったんだから何しようといいじゃない」と
なってしまいがち。
でも、お金を払う、払わない、以前に肉も魚もお野菜も果物も
ちゃんと命を持って生まれてきたんだ、ということを
この本を読んで、再度考えさせられた。
中学生以上の子どもはもちろん、子どもを持つ親だって持たない大人だって
読むべき本、いい本です。
・忘れていた命の食べ方
この本を読むまで、肉がどのようなルートを経て(スーパー等で売られている)自分の知っている形になるか途中がスッポリ抜けていました。 これからは、もっと「いただきます」「ご馳走様でした」に感謝の心を込めたい。
・すばらしい
バラク・オバマが黒人であるにもかかわらず大統領になった、と差別を乗り越えたアメリカの興奮を伝える日本のメディアは、この本に書かれているような我々日本国内における差別について語らない、という矛盾を内包している。
最近、落語のマクラで、すき焼きで有名な「今半」の「今」は当時と場があった現在の港区白金の地名に由来していると聞きました。
個人的なことですが、「コラーゲン」(美容)のため、とトン足をしゃぶる女性を正視できません。
この本に「権利」という言葉は出て来なかったと思いますが、「いのち」と人権と根拠の無い差別と我々の生活が結びついていることがよくわかりました。
動物実験をしない、と宣言し、宣伝していたショップの製品が化学薬品だらけと聞き、使用を控えたことがあります。
仕事でプライベートな邸宅でランチミーティングをした時のこと、ヴェジタリアンの役員秘書が、おそらく、かなり不本意だったろうに、彼女の主義主張を貫くことで目の前のラム料理(=命あったもの)が無駄になるからと食する姿を見たことがあります。10年以上前、外国での出来事で記憶力の悪い自分が忘れられなかったエピソードである理由は、この本に見つけた気がします。
・難しい問題
牛の解体の場面は、涙を流しながら読みました。
自分たちがどれほど多くのいのちを食べているか、
そしてそのためにどれほど多くの人が関わっているか。
それなのに実際にその解体する人を差別的な目で見ることの
愚かさ、今まで直視していなかった大切なことがわかりました。
もっともっときちんと勉強したいと思わせる、
良い機会を与えてくれる1冊です。
・日の目を見て欲しかった・・・。
「それでもドキュメンタリーは嘘をつく」を読んでいて、本作品のテーマも、もともと映像化される前提で取材が進められていたことを知りました。うーん・・・、確かにテーマのタブー度の高さを考えればマスメディアで流すのは難しいとは思いますけれど、著者が繰り返し述べている通り、「目をそむけてはいけない・知らなければならない」こと。マグロの解体と牛のそれと、どこが違うと子供に訊かれてちゃんと答えられるだろうか?勿論、自分も含めて・・。
でも難しく考えずに単純に考えれば答えは自明なことも、大人になるとアタマが固くなってわからなくなる。サラっと説明できなくなる。本書は子供向けみたいな体裁になってますけど、これは「子供にもわかるようなことが、大人の社会ではこんなにフクザツになっちゃってる」ということをチクリとやった、大人に向けて「どう思う?」という著者のメッセージ、と僕は理解しました。。。
あなたは本書の内容をきっちり子供に話す自信がありますか?無い人はぜひ。。。個人的には親が率先して読むべきかと。