・たくさんの人にすすめたい。
「メディアは人。メディアは間違える。何故なら人だから」
「事実は確かにひとつ。けれどそれは限りない多面体。
メディアが示すのは、そのたったひとつの断面に過ぎない」
特に新しいことが書いてある訳じゃない。
ごくごく当たり前のことが書いてある。
だけど、その当たり前のことは驚くほどに忘れられ、無視されている。
オウム真理教信者のドキュメンタリーを作る時に、
信者たちは普通の人間だ、と描こうとして
テレビ局から契約を解除されてしまったという著者ならではの、
語りかけるような文体の中に込められた思い。
啓蒙的だけど、あまり説教臭く感じることなく読める。
たくさんの人に勧めたい良書。
・現代メディアの基礎知識
テレビやラジオ、新聞や本などの多数の人々へ向けて情報を発信する媒体、
あるいはその手段としての「メディア」。
自分の生活圏、時間軸、物理的制限などで区切られた範囲外に自分が知りたい
事象がある場合、そのメディアを通じて私たちは自らの知りたいという欲求を
満たしている面は大きいと思います。
著者はオウム真理教のドキュメンタリー映画「A」を通じて感じ取った
メディアの疑問を、「松本サリン事件」や湾岸戦争時のでっち上げ等を
題材に問題提起し、メディアの本質をヤングアダルトといわれる世代へ
社会の一部を解りやすく伝えようとしています。
メディアが完璧ではなく、つまり公正中立ではなく、本来全部の情報を
提供することは無理であり、むしろ人の感情により決定された選択基準に
則って情報を切り取り、受け取り手の側に呼応した情報を提供する姿勢を
免れないことを知らなければならない、ということを繰り返し訴えています。
だからこそ、メディアが提供する断面を通じて知り、見て、聴いたことを
自分で考えて、決めて、動くこと、それを徹底しなければ、メディアが諸刃の
剣となりうることを教えている良書であるといえます。
昨今、個人でもインターネットなどを通じて発信・受信が容易となり、
大量の情報へのアクセスが容易となりましたが、便利になったかといえば、
むしろ不要・不用な情報の海に有用な情報は紛れ込み、逆にそこへの到達は
困難となりつつありますが、そのような状況へ一石を投じた書であるといえると
思います。
・いい本
友達から「面白かった」と薦められ読んでみました。
初森達也さん。
結果。
「もっとたくさん森さんの著書を読んでみたい!」となりました。
とってもいい本です。
よりみちパンセ、というシリーズは中学生以上のすべての人へ、となっていて、
分かりやすく、優しく説明しよう、という著者の意思が感じられます。
でも、決してバカにしたり上から目線ではない。
松本サリン事件とかオウムのこととか、湾岸戦争とか
私たちも知っている事件で誰がどのようにメディア操作をおこなったのか、
メディアっていったいなんなのか?
どういう目線で見るべきなのか? などたくさん考えさせられます。
そして私たちがそういう「冷静な考える目線」を持たなくなれば
こうなっちゃうかもよ?という恐ろしい話もありました。
中学生にも読んでほしい。学生のみならず
「テレビで見たよ、言ってたよ」=正しい、と考えがちな人
すべてに読んでほしい本だと思います。
このシリーズ、いい本が多いです。
・短所もあるが
この本の短所→長所
1.個人の経験が出すぎ→メディアの内部にいる著者だからこその視点が出ている。すなわち、メディアが情報を作る過程を問題としながらメディア・リテラシーを説くことができている。
2.内容が薄い→手ごろな入門書となっているので、良い。
3.メディアの定義が若干狭い→これがために、メディアの問題点をより深く考えられるので、良い。
結論―短所もあるが(これらに加えて、1、2章が若干面白くなかったが、これも第3章以降の内容で相殺可能)、裏から見るとこの本の魅力とも取れ、それは読者にとって有益だと思うので、星を減らさず、星5つとする。
・本来の対象年齢以上の人にも読んで欲しい
本来の対象年齢は10〜16歳くらいでしょう。しかし、それ以上の人も読んで欲しい本です。極端な話、子供と親が一緒に読んで、ともに考えて欲しいです。
メディアの良さ、怖さを引き出し考えることの大切さ、自分の目で見ることの大切さを著者は主張しています。森さんは私から見て今時珍しい「空気を読まない大人」です。多数は意見に流されるだけでなく、たとえ少数意見でも正しいことを言う。こういう人こそ社会に必要であり、こういう本こそ道徳や総合的学習時間の教科書に使われるべきでしょう。
この本に書いてあった「ヒトラーがゲッペルズに言った言葉」は今の「空気を読め」とかいう思考停止が習慣になっているの人たちに送りたいです。「空気を読め」と言う人たちってファシズムに染まりやすい人たちですから。