Amazonカスタマーのレビュー
・石油について多面的に記述
(1) 「最近の原油高の真の原因は何か」という点をはじめ、石油をめぐる様々な状況を多面的に記述している。特に、「石油はすでに産業のコメといえるような物質ではない。天然ガスなど他のエネルギー源の比重が高まっている」とか、「太平洋戦争前にアメリカ等が石油の対日禁輸をした際には日本に石油が入ってこなくなったが、現在は供給国が増えているので、(高い費用を負担する必要はあるかもしれないが)石油を入手できなくなることは考えられない」など、示唆に富んだ解説が多い。
(2) また、本書では、
・ 原油高なのに何故増産投資が少ないのか、
・ 資源国の資源ナショナリズムの趨勢、
・ 石油消費と環境問題との関係、
・ 天然ガスの現状、石油との関係、
・ 石油資源の枯渇の見込み
など様々な点について書かれている。
(3) 記述は簡潔とは言えず、文章もやや難解であるので、少し読むのに忍耐がいるかもしれないが、石油について知るためには、たいへん優れた本だと思います。
・ごみと石油と
設備投資不足が原因のようです。
日本でいうところのごみ焼却施設の設備投資不足。
・石油危機のレバレッジ
石油価格の高騰の原因は、<レバッレジ>の一言につきる。
アメリカのローカルな価格指標「WTI」に投機資金が入ると
そこに年金資金が注ぎ込まれるようになり
かつての100倍ものマネーが動くようになった。
今度はその指標を元に世界中の原油価格が上るようになった。
そしてそれは天然ガスなどの価格上昇をも招いた。
即ち、最初の投機資金に
数万、数十万倍のレバレッジがかかり
そこにピークオイルや資源ナショナリズム、
中国パニックや戦争までが
次々と乗っかり
世界中の資源価格が跳ね上げられているという構図だ。
皆が賭けている所に賭ける
そして長い長いバンドワゴンの行列を作る
そこに合理的に解釈できる価格など無い
…しかしそれは投機としてはきっと正しい。
98年にLTCMが破綻した時、
使っていたレバレッジは50倍だったという。
今のリスクは
その時と比べてどれくらいになっているだろう。。。
この本にはそんな石油価格高騰のメカニズムや
それによって起きている「21世紀型石油危機」の
その先にある、より大きな危機
…デタラメな価格の影響による産業としての衰退
そしてそれらとは一線を画した
よりリアルなエネルギーのあり方までが
幅広く書かれており
たいへん参考になるものだった。
・石油ピークへの行動指針も明示されている
原油の金融商品化と投機マネーについては「商品の説明」のとおりであるし、いくつかの石油問題の本でも書かれている通りであろう。
政府系石油業界のプロとして、いつかは来る石油減耗対策として:石油は輸送燃料と石油製品材料として優先的に使用し、オイルサンド・オイルシェール・GTL・CTLなどで液体燃料を輸送用等に延命し、発電・産業用には天然ガス・原子力等を使い、再生可能エネルギーの技術開発を進め、プラグインハイブリッドカーなどを普及させる、という実行可能な対応策が明示されえいる点が、ピークオイルの悲観論に対して安心感を与えてくれる。評論・分析を超えて石油・環境問題への行動指針が書かれているともいえる。
・現代石油市場を読み解くための良書
石油問題は素人からは分かりにくいことが多い。例えば、これほど価格が高くなっているのになぜ新規油田開発が活発化しないのか、最近は株価と石油価格が連動するように見えるが何故か、そもそも石油は後10年ぐらいでなくなるという説があるが本当かなどなど。
本書は、これらの疑問に答えつつ、現在の石油市場が、投機マネーあるいは投資マネーというかつてとは全く異なる力により動かされていることを、客観的に、かつ分かりやすく証明している。
外国人が書いた石油の本が結構出回っているが、新聞記者出身で、石油公団勤務の長い、プロの著者が書いた本書は、最近のこの分野の本としては最高と思える。
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