・一巻だけでは判断に困る作品。
主人公はお人好しの高校一年生の立木ヒロ。
ある日、隣のクラスの美少女、麻奈が見知らぬ男に襲われているところを目撃する。
麻奈と知り合ったことから「冠(ケテル)」や「王国」など世界の真実を序々に知り、行動していく物語。
作品の冒頭を読めばわかるが、物語全体が概念的な作りになっている。
真剣に読むとかなり疲れ、流して読むと物語がよくわからない。
主要な四人各キャラに個性づけがなされているが、別段目新しいものはなく基本は一通り揃っている。
壮大な前置きをされた感じで、これだけで面白いとか面白くないとか判断しにくい。
このあとさらに続巻に続いていくようで、続編の出来次第で評価が上がるか落ちるかは未知数だ。
最後まで読んだ印象として「どこが面白い」と言えないような作品。
全体的に見せ場が少なく、あってもどこかで見たことのあるものばかり。
折々現れる英文の魔法が違和感強く、潔く日本語にするべきだと感じた。
場面も時折海外に切り替わるが、その必要性の有無がはっきりしないのでなんとも言えない気持ちになる。
至極簡単にあらわすなら「読者置いてけぼりでも物語は進むよ」ということ。
特にこの作品を薦めることはしないが、購入の際にあらすじ・冒頭を読んで問題なさそうなら読んでみるのも悪くはないと感じた。
・スローペースでもなく詰め込みでもなく。
この作者、まず1巻だけで終わらせる気がないオーラが出てます。お話ペースは1巻丸々プロローグでしょうか。後書きでも書かれていますがさらに次の巻も巻き込んでプロローグにする気でしょうか。そんな感じですから、お話自体もテンポが速いというよりは未消化な部分が多々ありますし、挿絵とイラストのズレも感じられます。しかし最後まで誰が敵か味方かわからない展開で、かといって裏切られることもなく上手く仕上がっていますので、後味は良好です。
・盛り上げようとし、伏線を詰め込みすぎてしまった感がある。
すぐさまブレイクするとは思えない。だが、じわじわ浸透させるなら、初巻はこんなところなのであろう。
問題は伏線を使い尽くせるか否か。
キャラクターというよりは、設定を重視してる巻。
しかしながら、おいおいキャラクターやストーリーにシフトしないと企画倒れにもなろう。
設定、キャラ、ストーリーの三要素のうち、まずは設定に走ったのであるから、次いでキャラが立たねば沈む。
期待値こみで星4つ
・少しズレた視点がいい
ある意味パターン化した構成(平凡な主人公が魔法や超能力に目覚め、ヒロインと恋仲になり、敵を倒す。)からは少しズレている作品です。
結局はそのズレ方が面白いかどうかという事かと思いますが、私は面白かったと思います。
ヒロインやサブヒロインもちょっとないオモロイ性格でギャグ的要素も楽しかった。続刊があるようなヒキなのでかなり楽しみです。
・RPG
王と魔術師と戦士による現代ものファンタジー。誰が王で魔術師で戦士で、また世界がどのように成り立つのか、探求過程を楽しむことが出来ます。続刊があるのか不明ですが、本巻では主人公達による国が成立するまでが描かれます。国と言っても寧ろRPGのパーティーのようなものですが。
不満に思った点は二つ。ヘブライかカバラに由来すると思われる神秘概念が色々引用されますが、魔術の呪文は何故か現代英語、しかも苦しい和訳付き。これ雰囲気ぶち壊しなので最初から日本語でOK。次に、なまじ舞台が現代なだけに、剣と王冠と杓杖という世界の構成原理が如何にも古臭い。こういう作品は100年前でも書かれてそうです。ファンタジー作品がわざわざ異世界を舞台にするのは、やっぱ理由があるんだなぁと納得してしまいました。