・悪くはないけど それ程のものではない
みなさんが褒めちぎる程のものではなかった。薄味なのと叙情が空回りしてるみたい。まだ若かったのか資質か、聞かせ方は上手いがちょっと人工的な匂いも気になります。
・坂本教授が選んでいた一枚。
NHK「私のこだわり人物伝」で放送されたグールド特集の中で、「ロマンチックな一面」として紹介され
たブラームスの間奏曲集ですが、放送中に聴くことができる2曲(作品117-1と作品118-2)ともこの
アルバムに収録されています。紹介されていたジャケットは輸入版のものですが、本作品にも輸入版から
数曲抜粋したものが入っています。
また、雑誌「ぴあ」で数年前に企画された「坂本龍一の選ぶCD100枚」で選ばれていたのも実はこちらの
アルバムです。
輸入版が入手困難な場合はこちらを選ぶのもいいかもです。
・これは哲学
外傷性くも膜下出血で入院中の病室で、デッキに耳を当てて聴き入りました。
哲学的な思索。
カンディンスキー。
水の輪。
月並みな表現ですが、胸が震えるような。
胸の奥がしんとするような。
とても感銘を受けました。
・瑞々しさと冬枯れ
過剰なロマンには引きがちなので、長らくロマン派は苦手で、クラシックで好んで聞くのはバッハかドビュッシー以降のものばかりだったのですが、それを克服するきっかけをくれたのが、このアルバム(とバックハウス/フルニエのブラームスのチェロソナタ)です。
ブラームスの壮大な大曲は、下手するとロマンティシズムに耽溺しすぎで甘さが過剰に重たくなりがちなのですが、これらの小品集はそのあたりのバランスがとてもよく、引き算することによる魅力を感じます。
間奏曲集はブラームスの甘さが鬱陶しくならずに楽しめる。
グールドの演奏がとても瑞々しくて、若若しくチャーミングです。
他方バラードとラプソディでは、ブラームスのもう一つの魅力である「枯れ」が堪能できます。
彼の甘さの中に常に影のようにつきまとう冬枯れの静謐さが、グールドの内省的な面と呼応しあっています。
またグールドのピアノのタッチ(とピアノ選びと調律)は独特で、よくあるコンサートピアノが金属的に共鳴するようになっているのとは対照的にポロポロと一音一音が木を叩いたような音なのですが、それが、ブラームスの「枯れ」にぴったりはまっています。
かなり独自の解釈を行うグールドですが、(冒頭にバーンスタインの発言が残されているブラームスの協奏曲第1番や、モーツァルト、ベートーベンの聞き慣れたソナタあたりを聞くと、その独特さがとてもわかりやすいかと…)この曲集についてはとても自然に聞こえます。
他の演奏家と比較すれば実は個性的なのですが、個性的だと思わせないくらい自然なのは、やはり相性が良いからなのでしょう。
グールドのCD全集はかなりの数をもっているのですが、その中でもお気に入りの一つです。
バッハ以外のグールドを、と言われたら、これとシェーンベルグあたりが好みです。
(あとSWEELINCKのオルガン曲のライブ音源もとても良かった。)
・グールド独特のラプソディー。
まさに独特の世界観と、音楽観を持ち合わせた、グレン・グールド。
彼の芸術は、その独特のタッチと奏法にあるが、それがブラームスの
ラプソディーと調和しています。
ピアニストは、その曲目の音楽家の理解だけでなく、独自の世界観を
持ち合わせなければならないと、某クラシック雑誌の評論家が言って
いたが、私はその先駆はグールドだと思います。