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出版ダイジェストNo.46(2007春)に紹介あり
サボテンにつくカイガラムシという寄生虫から取れる赤色・コチニールの(再)発見と栄枯盛衰の物語。

着色料として食品にも使用されているコチニールですが、原料が虫ということだけで迷著「食品の裏側」などでも批判されています。しかし、この本を読めばその色素に関わったさまざまな人たち(微生物学の父レーウェンフックといった科学史でおなじみの人も出てきます)のたゆまぬ努力と「赤」への情熱、市場を独占しようとするスペインに対し、生きたコチニールを持ち帰ろうと潜入するスパイの手に汗握る攻防、あるいはコチニールとはそもそも何であるかをめぐる科学者同士の騒動(当時は「木の実からできた虫」というのがあり得る時代だった)まで一度に読み解くことができ、これからはコチニール色素という字を添加物使用表示の中に見るだけで妙な郷愁にかきたてられること請け合いでしょう。

やがて合成の着色料が発明されて、天然色素はコストや性能の面でどうしても太刀打ちができなくなるのは時代の流れなのですが、それにも負けず細々とコチニールを飼育している農家の話には胸を打たれました。
「コチニール?なんか虫の絞り汁なんでしょ?気持ち悪い」というあなたに是非読んで頂きたい本です。

装丁がちょっとアレなので星4つ。
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